ブリッジズ:日本とマレーシアは長年にわたる関係を保っています。この長年にわたるパートナーシップの歴史的要素のうち、今日でもなお関連性が残っているものは何でしょうか?

四方大使日本とマレーシアは60年以上にわたり、強固で堅固な外交関係を維持してきました。1980年代にマレーシアが「ルック・イースト政策」を開始して以来、約2万8000人のマレーシア人が日本の大学で学び、あるいは日本企業で研修を受け、日本の高度な技術と産業技能を習得しました。
マレーシアに帰国後、多くの卒業生が政府、産業界、学界において両国間の重要な架け橋となり、彼らの友情と職業上のネットワークは今日も活発に活動し続けています。
この確固たる基盤に基づき、高等教育における協力と交流は着実に発展してきました。マレーシア工科大学(UTM)クアラルンプールキャンパスに位置するマレーシア日本国際工科院(MJIIT)は、10年以上にわたり日本式の工学教育プログラムを提供し、優秀な人材を輩出するとともに、産学連携を推進してきました。
2024年9月には、マレーシア筑波大学(UTMy)が開校し、更なる節目を迎えました。UTMyは、マレーシアにおいて、問題解決型学習(PBL)に基づく日本の実践的な学際的カリキュラムを提供します。UTMyは、マレーシアにおけるイノベーション重視の人材育成の加速に貢献します。
文化的なつながりも深まっています。1989年に設立されたクアラルンプール日本文化センター(JFKL)は、日本語講座や多様な文化イベントを通じて、草の根レベルの交流を強めてきました。1977年以来、毎年恒例の盆踊りには数万人もの参加者が集まり、マレーシアの多文化社会において日本文化への親しみを育んでいます。
教育と文化という「ソフトパワー」の重要な柱における長期的な取り組みを通じて、日本とマレーシアは相互尊重を育み、それが60年以上経った今もなお両国の緊密な関係の基盤となっています。

今年は大阪万博が開催されますが、このイベントを通じてマレーシアと日本の関係を強化していきたいとお考えですか?
大阪・関西万博は、日本とマレーシアにとって、それぞれの魅力と技術を世界に発信し、パートナーシップをさらに深める絶好の機会です。日本は技術革新を通じて地球規模の課題への解決策を提示することを目指し、マレーシアは「多様性の中の調和」というテーマを強調します。
大阪・関西万博は、日本とマレーシアがそれぞれの魅力や技術を世界に発信し、パートナーシップをさらに深める絶好の機会です。
駐マレーシア日本国特命全権大使 四方憲之
万博を相互学習の場と位置付けることで、相互理解を深め、二国間関係を強化しています。実際、マレーシア政府は既に具体的な経済効果を強調しており、7億リンギットを超える潜在的投資額や、大阪・関西万博に関連した20件以上の覚書締結を報告しています。
万博では、どのような方法で日本の真髄を世界の人々に伝えていきたいと考えていますか?
万博のシンボルであり、世界最大の木造建築物である「グランドルーフリング」は、私もよく知る京都の清水寺に代表される伝統的な貫組構法と、最先端のCLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー)技術を融合させた建築物です。
世界が政治的分断の深まりに直面する今、古来の職人技と最新技術を融合させた日本のリングは、人々の心の溝を越え、人々を繋ぐメッセージを伝えています。万博を通して、リングの内外を問わず、様々な国々や来訪者との活発な交流が、世界の繋がりを再び強めることを期待します。

大使館は今年、マレーシアと日本の間の協力関係やつながりをどのように促進していく予定ですか?日本とマレーシアの友好関係の将来について、どのようにお考えですか?
今年、在マレーシア日本国大使館は、経済、教育、文化、環境といった主要分野における二国間関係の更なる強化に取り組んでいます。具体的な取り組みとしては、脱炭素社会に向けたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)枠組みの推進、大学間連携や学生交流の深化、人工知能(AI)や次世代モビリティといった分野におけるビジネス・技術協力の促進、日本語教育や文化プログラムを通じた草の根レベルの交流の拡大などが挙げられます。
これらすべての取組は、相互に利益をもたらす双方向の交流、いわば「相互に見守る」政策と言えるでしょう。こうした関係を基盤として、日本とマレーシアは「包括的戦略的パートナーシップ」の枠組みの下、両国の特別な絆を今後も拡大し、深化させていくと確信しています。
この関係を基盤として、日本とマレーシアが「包括的戦略的パートナーシップ」の枠組みの下で、今後も特別な絆を広げ、深めていくものと確信しています。
これまでの経験を振り返って、マレーシアでの滞在中に最も思い出に残った瞬間は何ですか?
マレーシアの豊かで多様な食文化を直接体験できたことは、特に印象深い経験です。サラワク州、サバ州、ペナン州、ジョホール州、ペラ州などを訪れ、ナシレマ、ミーゴレン、ニョニャ料理といった地元料理を堪能しました。これらの体験をソーシャルメディアで共有したところ、多くの反響があり、文化交流が人と人の心を繋ぐ力を持つことを改めて実感しました。また、マレーシアには2,000軒近くもの日本食レストランがあり、その質の高さにも感銘を受けました。多くのマレーシア人の友人が、寿司やラーメンだけでなく、マレーシアで食べられる様々な日本の地方料理を楽しんでくれていることを嬉しく思います。